「ハルジオン」を知りませんか?
ヒメジョオンに似ていて
でも茎の中が空っぽで
蕾がうな垂れて
「昔よもぎ!」と古風な名で呼ばれ
「貧乏な家に生える貧乏草!」と言われ
皆に嫌われていたハルジオン
ポッキと折れそうな
シャイで地味なハルジオン
今はどこに?
上下左右にふらふら揺れて
あっちの花からこっちの花へ
右の花から左の花へ
黄色い花から白い花へ
止まって休んで羽を合掌させて
すぐにふらふら浮いて見せて
夢の世界を蝶が舞う
「逢いたい逢いたい逢いたいあの子に逢いたい!」と
毎日激しく吠えるけど
頭を撫でられ「お手!」をさせられドッグフードをもらうだけ
「逢いたい逢いたい逢いたい!」と
毎日必死で訴えるけど
僕の気持ちを誰も分かってくれない
「私は君の気持ちがよく分かる!」
暖かな雨が降っていて
雨傘のない二人が雨に濡れている
寄り添い佇み見つめ合っていて
五月の優しい今日の雨に
濡れながら見つめ合っている
目と鼻と口は近所に住んでいて
両目は朝から晩まで窓から外を眺めている
鼻の家は二世帯住宅で丸い穴が二つ並んでいて
口の玄関は広くて「おーい」と奥で誰かが呼んでいる
両耳は右と左に別居していて
壁に耳を付けていつも盗聴している
耳「みんな仲良くしてるかな?」
今日は洗濯をした
「よくやった!
よく頑張った!
最高だ!
最優秀努力賞だ!
あっぱれ!
すご~い!
素晴らしい!」
肩を叩いてほめてあげた
草の上を歩いて行くと気持ちいい
落ち葉を踏んで行くと気持ちいい
歩いて歩いて歩いて汗をかくと気持ちいい
あざみも田平子も姫女苑も
皆静かに咲いていて
思いは一緒
「逢いたい!」
雀が朝早くから鳴いていた
「純ちゃん純ちゃん純ちゃん」
「純ちゃん」を探していた
あっちで「純ちゃん」こっちで「純ちゃん」
時々「純」と呼び捨てた
「純ちゃん」ってどこの「純ちゃん」?
「純ちゃん純ちゃん純ちゃん」
私の頭は「純ちゃん」で満タンになった
突然「純ちゃん」が止んだ
やっと「純ちゃん」に逢えた!
良かった!
いつまでも赤ん坊のままじゃない
いつまでも子供のままじゃない
いつまでも親のままじゃない
いつまでも高齢者のままじゃない
どんどん変わっていく
でもこのままでいたい
いつまでもこのままでいたい!
前しか見ないサラブレッド
後ろを見ないサラブレッド
疾走するサラブレッド
うっとりするほど美しい!
前しか見ない人
後ろを見ない人
突っ走る人
サラブレッドな人は美しい!