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蜘蛛の巣城

  

               女郎蜘蛛が消えた

            蜜柑の葉と柚子の葉をつないだ

          糸だけが残っていた

             ・・・・・・・・・

          大きな立派な蜘蛛の巣だった

            お城みたいだった

          自分が築いたお城の真ん中で

            頑張っていた

          周りにもお城が沢山あったけれど

            最後のお城だった

          最後の「蜘蛛の巣城」が敗れた

            最後までよく戦ったわ!

          よく頑張ったわ!



| 07:00:00
正月と口喧嘩

  

      正月が近づくと

        口喧嘩が始まるの

      しなくちゃならない自分と

        したくないわたしの口喧嘩が始まるの

      ずぼらなわたしは「したくない!」と言い張るの

        真面目な自分は「しなくちゃだめ!」と怒るの

      大晦日まで続くの

        でも正月が来たらぴたっと止むの

      正月はすごい!



| 06:53:00
どこまでも一緒に

       

           雑木林の坂道を登っていたら

              黄色い枯葉が二枚ひらひら

                一緒にゆっくり

                   舞い降りて来た

                目の前で散って行くのを見たら 

                   全身がへなへなとへたれる

           でも二枚がひらひら

             一緒になって落ちて来たから

           「いいなぁ!」とほのぼのとした



| 06:53:00
幸せの色

  

          透明な細長い筒の中で

            赤白青の帯がくるくると

          斜めになって上へ上へと回っていた

            すごい勢いで回っていた

          明るいライトの中で

            くるくると回り続けていた

          明るく静かに回り続けていた 

            理髪店の前で

          ただ見ているだけで幸せになった   



| 06:56:00
白菜

  

         白菜を初めて育てた

           だんだん虫に食われて

         外はぼろぼろになった

           虫食いをはぎ取っていくと

         なめくじやよとう虫がぽろぽろ出てきた

           大量の糞もあった

         もっとはぎ取ると

           中は虫食いがなく綺麗なままだった

         白菜は逞しかった



| 06:57:00
雨音

  

          あの頃は雨音を聴いて

            泣いていた

          夜の海の砂浜の

            雨音に泣いていた

          時々夜の海の砂浜の

            雨音を聴きに行った

          雨が誰もいない砂浜で

            しんしんと悲しい音で降っていた

          雨は降る場所で音を変えていた



| 06:57:00
ジョウビタキのクリスマス

      

          クリスマスの歌がアップテンポで

            広場に流れていると

          ジョウビタキが一羽ふわりと

            舞い降りた

          黒と白のシックな装いで

            つつつつつーつつつつつーと

          小刻みにステップを踏んで

            小首を前後に振って

          右へ行ったり左へ寄ったり

            いい感じで踊ってた

          するとざくざくと大勢の人がやって来た

            「あ~踏まれる!」と思ったら

          ふっと消えてしまった



| 06:51:00
牛になれ

  

        がつがつと食べるより

          だらだらと食べる方がいいらしい

        犬のようにぺろりと平らげるより

          牛のようにゆっくりと噛むのがいいらしい

        一口30回は噛んでほしいらしい

          でも昔から

        一気にぺろりと完食してしまうの

          どうしたらいいの?

        「誰の為でもない自分の為なの

          牛のように頑張れ!」



| 07:13:00
コーヒー

  

           昔はコーヒーが大好きだったの

             ブラックの苦さに痺れたの

           漂う香りが又たまらなかったの

              長い歳月夢中になったの

           気持ちが無性に飲みたくなり

             飲む時もあるけど

           体がNGなのね

             「気持ちが大事」と言うけれど

           気持ちじゃないのよね



| 07:03:00
蜘蛛にエールを!

  

         女郎蜘蛛がまだ頑張っていた

           師走も押し詰まって

         冷たい風が吹く中で

           ゆずとみかんの木を糸で繋いで

         あちこちがほころんでいる巣の真ん中で

           腹を真っ赤にし足をふんばって

         頑張っている姿を見ていると

           応援したくなった

         「寒い中よく頑張ってるね

           ファイト!ファイト!ファイト!

         頑張れ!頑張れ!頑張れ!」



| 06:54:00
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