昔の家には棚があった
長い板が一枚部屋の上に渡してあった
不要の物は取り合えず棚に上げた
部屋がすっきりした
ぼた餅も棚に上げた
何かの拍子に落ちてきた
何でもかんでも棚に上げっぱなしなので
鼠が巣を作って住んでいた
今は棚がないので
全部押し入れに突っ込んでる
でも大事な物は棚に上げて置きたい
木の根が走ってる斜面で
根の輪っかで根と根の谷間で段々で
思い思いに居心地のいい場所を占めて
黄緑色のこけが生えてる
もう少しすると木の葉が生い茂る
今は青空が見える
「今が一番いい!」
広場にジョウビタキがいた
あっちへ行ったりこっちへ来たり
くちばしで地面を突っついたり
くちばしを地面に擦り付けたり
通り過ぎる人の足を見ていたり
と、パッと飛び立ったから
慌てて目で追いかけたら
もう一羽に急接近し鳴き合って
猛スピードで一緒に飛んで行った
こんなにも気が滅入るのは
空もようのせい
やる気が全然出ないのは
この空のせい
灰色のカーテンが空に引かれて
青空が見えない
雲のカーテンがサッと開いて
青空がチラッとでも見えたら
私はパッと元気が出るの
大きな鈴かけの木には
無数の鈴が掛かっている
茶色の小さな鈴は
チリンとも鳴らない
大きな葉が秋に散り切っても
鈴は落ちない
一つの願い事を一つ一つ
鈴にかけて
願い事が叶うまで
古い鈴を落としては
新しい鈴をかけてるの?
恋人を呼ぶときは
ア~ア~ア~ア~ア~
恋人の取り合いでもめてるときは
カーカーカーカーカー
恋人を取られそうなときは
ガーガーガーガーガー
けんかを止めに入ったときは
アーアーアーアーアー
「愛してるよ!」とか
「あっち行って!」とか
「無理!無理!」とか
「まあ!まあ!まあ!」とか
春になってからすの声が一段とでかくなった
運動会の"借りもの競争”は紙に書かれた
借りるものを借りてゴールへ走る
知らないおじさんやおばさんの所へ走って行って
借りたいものを伝えると
「ほらほら持って行きんしゃい」と
みんな親切で困ってる人に貸してあげる
借りたものを持って全力疾走する
わーわーと応援の声が湧き上がる
他人事だけどめちゃ感動する
私「雑巾は絞る
ぎゅぎゅっとよく絞る
知恵も絞る
ぎゅぎゅっとよく絞る」
自分「知恵は雑巾と違うのよ
目に見えないから
絞るの難しいよ
新型コロナもめちゃやばいよ」
私「そこを何とか絞ったらきっと罹らないよ」
バスが遅れて来ても許すように
バスがのろのろ走っていても許すように
バスが後ろの車に次々と追い抜かされても許すように
バスのような自分を許して
バスに揺られて
恋人と行く旅の気分になって!
私は生真面目で
学校を一日も休まなかった
生真面目過ぎて
生真面目を呪った
「卒業までに一回はズル休みをすべき!」
生真面目に考えた
珍しく大雪が降った朝
いつものように公園の中を通った
いつもの公園が一変していた
草も木も小道も真っ白で太陽に輝いていた
公園で遊んだ